自動車のオーディオは、ユーザーの車での音楽の楽しみ方はもとより、カセットテープからCD、MDそしてMP3といった、音楽業界全体の進化の流れに沿って自動車のオーディオの形態を変化させている。
HDD付きの自動車オーディオの普及の背景には、ソフトウエア領域のシステム設計、ハードウエア領域における新材料や独自構造の研究と開発の弛まない努力があるといってよいだろう。
ちなみに自動車のオーディオにも導入されているMP3というのは、最近は広く普及してはいるものの、MP3自体の意味を理解できている人はまだ少ないようである。
MP3とは、MPEG1 LAYER-3の略であり、 ISO(国際標準化機構)のワーキンググループであるMPEGが、1992年に制定した音声情報圧縮の国際規格「MPEG1/Audio Layer3(ISO/IEC標準1172-3)」である。このMP3による圧縮方式では、聴感上の音質劣化なしに1/10〜1/12の圧縮率を得ることができる。
このように、自動車のオーディオをはじめとする、様々な音楽メディアを取巻く環境と技術は急速に拡大、成長を繰り返しており、今後もHDD内蔵型自動車オーディオのような高度で精密な機器の車両への搭載は普及していくものと思われる。
自動車のオーディオへのHDD搭載において、最も大きな技術的課題である信頼性は、各社でのHDDを搭載した自動車オーディオの試作品による度重なる実験と検証を繰り返して、現在のHDD内蔵の自動車オーディオの信頼性が確立されたものである。
あるメーカーの、HDD内蔵型自動車オーディオの開発に関する一般論文によれば、走行中の振動からHDD自体を保護する為に、強固な取り付け構造と自動車のオーディオに搭載されたHDDへのケーブルからの振動入力を抑える目的で、多くのフローティング構造が採用されているという事である。
やはり、HDD内蔵の自動車のオーディオの開発において、振動を抑えるという事は大きな壁であり、この問題を乗り越える為に様々な独自の構造やフェイルシステムが採用されているようである。
次に自動車のオーディオに搭載されたHDDの大敵となるのが温度条件である。
自動車のオーディオは、夏場の車室内では100℃近く、冬場においては氷点下という温度に曝されるが、自動車のオーディオに搭載されたHDDは、磁気記録メディアであり、磁気データは高温になると消失の危険があり、低温化ではデータを記録する事が出来なくなるといった問題があるそうである。
従って、自動車のオーディオに搭載されたHDDの温度をいかに安定的に保つか?といった部分も、HDD内蔵の自動車オーディオの信頼性開発における重要な課題であるといえる。
自動車のオーディオは、最近はカーナビ機能と一体となったものが主流であるが、一方でカーナビの機能とは独立した、単純に自動車で音楽を楽しむだけのオーディオもまだまだニーズが高いようである。
自動車のオーディオも、昔はカセットテープが主流だったが、CDへと進化し、MD、そして最近ではHDDを内蔵した自動車のオーディオなどが普及しているようである。
特にipodとインターネットの爆発的な普及により、音楽をダウンロードして楽しむというスタイルが主流となり、これに伴い自動車のオーディオ自体もHDD内蔵型へと大きく進化したといえる。
HDD内蔵型の自動車オーディオはカーオーディオメーカーの各社から発売されているが、各社ともHDD内蔵型の自動車のオーディオの開発においては、やはり内蔵するHDD自体の信頼性に多くの課題があったようで、自動車の振動や温度条件、またそれらの負荷頻度は、住宅の室内で使用されるパソコンに搭載したHDDが受ける負荷とは比べ物にならない物であり、自動車のオーディオにHDDを搭載するに当たっては、全く未知の領域のハードウエアや制御ロジックの開発に着手する必要があったのではないかと思われる。
これらの課題を克服して、自動車のオーディオへのHDDの搭載を可能にした日本の技術力は改めて凄いと感心させられてしまう。